エソラゴト

ブレードランナーのエソラゴトのレビュー・感想・評価

ブレードランナー(1982年製作の映画)
5.0
以前に『ブレードランナー ファイナル・カット』の方で投稿しているので今回はこちらで…

今年2019年を舞台としたSF映画の金字塔がIMAXで2週間限定上映!…ということで今年7/19に開館した池袋のグランドシネマサンシャインに満を持して初参戦してきました。

ファイナルカットは劇場では4回目、VHSからBlu-rayまで映像ソフトでは様々なヴァージョン違いを含めそれはそれはもう数えきれない程鑑賞してきて内容はほぼ把握していますが、やはり現代の最高映写フォーマットで観るSF作品は昨年の『2001年宇宙の旅』同様、今尚新しい発見がいくつもありましたし、日本最大を誇るレーザーIMAXの映像と音響の大迫力には徹頭徹尾圧倒されっぱなしでした。

そして鑑賞の目的は作品の舞台が今年2019年という事や最新技術でアップロードされた映像美や音響を楽しむ事も勿論でしたが、また別の大きい意味合いがありました…。

今作をSFの金字塔たらしめたのは従来の近未来の世界観を覆すリドリー監督独特の美的センスとヴァンゲリスの哀愁漂う音楽によって構築されたことに間違いありません。そしてもう一つの理由はこの物語の影の主役、いや真の主役といっても過言ではない程の大きな存在感を放ったレプリカントのリーダー役ロイ・バッティを演じたルトガー・ハウアーの名演でした。

その彼が今年7月に残念ながら逝去されたのは記憶の新しいところ。今作のロイと同じ今年2019年に天に召されるなんて…とその報を聞いた時は途方に暮れましたが、改めて追悼の意を込めて彼のアドリブ部分も含めた今作での最も印象に残る詩的でいて美しい最後の台詞を書き留めておきたいと思います。



おまえたち人間には信じられないようなものを私は見てきた

オリオン座の近くで燃える宇宙戦艦

タンホイザー・ゲートの近くで暗闇に瞬くCビーム

そんな思い出も時間と共にやがて消える

雨の中の涙のように…

死ぬ時が来たー。




欲を言えば、このロイ・バッティの魂を引き継いだと個人的には思っているライアン・ゴズリング演ずるレプリカント:Kの切なくも儚い姿を描いた続編の『ブレードランナー 2049』も続けてこのIMAXスクリーンで観たかったのですが…実際は同じ劇場で同じくSFの大傑作『マトリックス』の4DXを鑑賞しました。


追記:この後、TOHOシネマズ新宿に移動して限定販売の『スクリーン・アーカイブス』を購入しました。ブレードランナーのみならず、リドリー・スコット監督のフィルモグラフィも辿っておりお値段お高めですが、読み応え十分あります。(別作品公開時に来日されたルトガー・ハウアーインタビューも掲載されています)