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日本女侠伝 血斗乱れ花のデニロのレビュー・感想・評価

日本女侠伝 血斗乱れ花(1971年製作の映画)
3.0
1971年製作公開。脚本野上龍雄。監督山下耕作。

本作は少し前に観た『日本女侠伝 侠客芸者』(1969年製作公開)の焼き直しじゃありませんか。脚本、監督も同じなのでまあいいか、2年も経っているし、という感じだろうか。50年後に特集を組まれるとは思いもよらなかっただろう。

わたしは、純子も健さんも全く興味がないのですが。

お話は、石炭に夢を見た夫津川雅彦の遺志を継ぎ、炭坑経営に乗り出すために大阪船場の店を畳んだ御寮はん藤純子の物語。右も左もわからぬ世界で蹂躙されそうなところを川船頭高倉健とその父である山頭水島道太郎が助け舟を出す。でも健さんは堪え性がないのか三人も人を殺し服役。しばらくお休みです。そして出所後一働きするのですがルーティンで殴り込み、敵役の大木実、遠藤辰雄を叩っ切り自らも拳銃の餌食になるのです。

本作はひとえに山本麟一です。津川雅彦と死に別れた藤純子に思いを寄せつつも、その想いを消してしっかりと支えていくという役柄。「無法松の一生」の松五郎じゃなかろうか。そういう人物は物語の途中で殺されてしまうものなのですが、ここではそんなことはありません。最後の最後まで生き残り、ヒロインを支え続ける姿を見せてくれるのです。彼にとっては年月を経て白髪頭になったとて御寮はんは御寮はんのままなのです。泣けます。

川船頭の元締め天津敏も義理と人情の板挟みに苦悶しながらも、人情の川の流れを通します。感涙。

ラピュタ阿佐ヶ谷 娯楽映画職人の矜恃 脚本家・野上龍雄 遅すぎた再発見 にて
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