公開時に私は小学生でしたが、
テレビCMでの「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい」のキャッチコピーと、
「Let it be」のメロディーラインが、
まだ幼い脳に強烈に刷り込まれました。
とはいえ、劇場に見に行くわけもなく、
その後テレビ放送されたのを、途中だけチョロッと見たのだと思いますが、
(当時家にはテレビが1台しかなく、父親が黙々とザッピングしているので、
作品をまともに鑑賞するということがなかった)
岸本加世子が演じる双子の娘の片方が、
もう片方のことを、「カタホウ」と呼んでいたことが、
とても気味悪く感じられて鳥肌が立ったことを思い出します。
林の中、双子の片方が、
「カタホウがいない!カタホウ、カタホウ!」と呼びながら、
もう片方を探し回ってた映像の記憶があるのですが、
今回見たところ、そういう映像はなかったので、
あまりの不気味さゆえに、幼い脳内で創り出された幻だったようです(笑)
今となって、改めてみてみると、
テレビCMのインパクトが強烈だったのに対して
本編は、インパクトがないまま、ツルツルすべっていくような感じですね。
鹿賀丈史も日本人離れした顔立ちにもかかわらず、
どこかツルツルしています。
映像自体は落ち着いていて美しいのですが、
金田一シリーズを構成する大きな要素である
死を彩る鮮やかなデコレーション、偏執的な美意識がなく、
犯人の苦悩も薄いなあという印象です。