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悪霊島のABBAッキオのレビュー・感想・評価

悪霊島(1981年製作の映画)
3.5
 1981年篠田正浩監督。角川・東映による横溝正史ものだが、金田一は石坂浩二ではなく鹿賀丈史。冒頭に角川春樹がカメオ出演。原作は横溝正史の最後の作品で1960年代に設定されているそうだが、本作は角川氏の思い入れか、ジョン・レノン暗殺後の1978年頃に設定されており、ビートルズの楽曲を意図的に使っている。
 戦後直後の田舎の因習が犯罪動機となる横溝らしい話は60年代には合わないと考えたのか、本作では「ダブル」がテーマになっており、双子の組み合わせが数多く出てくる。岩下志麻と岸本加世子が一人二役的に登場。鹿賀の金田一は悪くはないもののストーリー的に目立たない。特に謎解きに至る段階では岩下志麻の二重性を表現した演技が中心となる。夫である篠田正浩監督の趣味も反映しているのか。岩下の熱演が映画の一番の見所だろう。
 角川映画が「復活の日」で一段落し、アイドル路線に転換するまでの模索の時期でこの映画もそれほど注目されないが、篠田監督・岩下志麻映画としてもっと見られてよい映画だろう。
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