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レナードの朝のYYamadaのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
3.8
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈「嗜眠性脳炎」患者の覚醒〉
  ~新薬L-ドーパの投与 / 1969年
・場所: アメリカ/ニューヨーク州
・人物: オリバー・サックス医師

〈見処〉
①「30年ぶりの目覚め」を描く、
 良質のヒューマン・ドラマ
・『レナードの朝』(原題: 「Awakenings」=「目覚め」)は、1990年代に製作された人間ドラマ。
・本作の舞台は、1969年のニューヨーク。ブロンクス地区にある慢性神経病専門病院に赴任したセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)は、話すことも動くこともできない患者たちに反射神経が残っていることに気づき、彼らは植物人間ではないことの確認に成功する。
・ある日彼は、30年前に入院以来ずっと眠り続けている嗜眠性脳炎の患者レナード(ロバート・デ・ニーロ)に、まだ認可されていないパーキンソン病の新薬を投与。そしてある朝、レナードはついに目を覚ます…。(eiga.comより抜粋)
・本作は、1972年に神経科医オリバー・サックスが実体験をつづった著作
「Awakenings」を再構成したフィクション。原作では、患者20名にパーキンソン病向けの新薬L-ドーパの投与により覚醒された患者が、耐性により効果が薄れていった状況が描かれているが、本作ではレナードに対する描写が主となり、患者が示す症状は必ずしも科学的に正確でないそうだ。
・なお、嗜眠性脳炎(A型脳炎)は、 第一次世界大戦後10年ほどの期間に発症がみられたが、1930年以降はほとんどみられず、本作で登場する患者たちが、40代後半より高齢であるのは、そのためである。

②「デニーロ・アプローチ」
・2度のアカデミー受賞を誇る、名優ロバート・デ・ニーロ。
・「シチリアに移住して、イタリア語をマスター(ゴッドファーザー PART II)、「NYのイエローキャブ運転手として数週間働く(タクシードライバー)、「頭髪を抜き、顔だけ太らせる」(アンタッチャブル)、「ボクサー体型に搾り上げた後、撮影終盤に一気に27キロ太る(レイジング・ブル)…デニーロがレジェンド所以の役作りとして有名なのが、外見から仕草に至るまでの徹底した役作り。整形すら辞さない、天井知らずの狂気の姿勢は「デ・ニーロ・アプローチ」として広く認知されている。
・本作にて、嗜眠性脳炎のレナードを演じたデニーロは、撮影の行われた病院にて、実際に数か月間入院生活を経験。その迫真の演技によって、63回アカデミー賞にて主演男優賞にノミネートされている。

③結び…本作の見処は?
ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズの二大俳優による共演。
○: 「少年のまま中年を迎えてしまった」レナードを演じるデニーロの迫真の演技は素晴らしい。終盤の病と闘うレナードの姿に胸が熱くなる。
○:ロビン・ウィリアムズに白衣が似合うのは、後作『パッチ・アダムズ』でも証明済であるが、本作でウィリアムズが扮するセイヤー医師の誠実な人柄には魅了される。
○: 本作開始から1時間21分の約10秒間、登場する「トランプゲームで患者に負ける
医師見習い生」を演じるのは、『ワイルド・スピード』ドミニクこと、ヴィン・ディーゼル。彼のデビュー作品であるが、トリビアを知っていないと決して見つけることは出来ないほど、外見が異なる。
▲: 良作であるのは間違いないが、終盤における、患者たちとその家族たちの葛藤をまっと描いても良いのでは??
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