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レナードの朝のadeamのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
2.5
医療ノンフィクションを基に映画化したヒューマンドラマ。
泣ける作品として名前の上がることが多く、丁寧で地に足がついた語り口は良かったです。
悪人が存在しないユートピア的な世界観は爽やかではあるのですが、善良な人間にもある無自覚な差別意識や偏見を全く無視するスタンスが作品を能天気なファンタジーに感じさせ、医師の苦悩に説得力があるようには思えませんでした。
人間の尊厳をテーマにした医療ドラマとして、「アルジャーノンに花束を」と比較されることも多いですが、患者の視点から語ることでその苦悩と葛藤を読者に追体験させ、見事な説得力を獲得している名作SF小説と比べてしまうと、やはり今作での医師の決断と後悔は浅く感じてしまいますし、患者側の苦しみも描写不足な気はしました。
両者の視点から描いたことを活かすのならば、二人の患者と医者という関係を超えた友情がもっと際立っていたら良かったと思いました。
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