このレビューはネタバレを含みます
意識はあるけど話すことも動くとも出来ない嗜眠性脳炎患者のレナードと、彼の”目を覚まさせた”医師の奇跡のようなひと夏の物語。
これはすごい映画!!
1920年代に流行した嗜眠性脳炎という病が扱われている作品。
パーキンソン病の新薬を患者たちに投与したら、声も身動きも一切取ることのできなかった彼らの魂が嘘のように戻って来るなんて…。
そもそも、患者にボールを投げてみると見事にキャッチしたり、特定の音楽にだけ反応したり、誰かが何かを出さないと始まらないカードゲームで一枚だけカードを出すとそれに付随してカードを出し始めたり、何かが”トリガー”となってかつてない反応を見せる患者たちに対して、こんな病があることを初めて知った事実と奇妙な光景に驚きを隠せませんでした。
これが現実に起きた話ってことがすごいし、奇跡を目の当たりにした医師や周囲の人たちはどんな気持ちだったんでしょう?
目を覚ました患者たちは喜ぶのも束の間、人によっては40年近くの時を失い、年老いた自らの姿に驚いたり、色々と変化した環境に戸惑い…。
それでも、止まってしまった時計の針を動かし、人生を謳歌する患者たちを見て、何気なく生きている毎日がいかに幸せかを実感できる名作だと思いました。
病気が完治したと思っていたら、決してそうではないストーリーにも胸が痛みました。
セイヤー医師は「命を与えて、再び奪うこと」をした自分の行いを責めてましたが、たったひと夏の奇跡だったとしても、本来の自分を取り戻して生活を送る彼らの日々は無駄なことではなかったと思うし、それを目撃した医師や周囲の人はそこから何かを感じとったはず。
ロビン・ウィリアムズが演じる、人付き合いが苦手だけど、患者に対して真摯に向き合うセイヤー医師が良いキャラしてる👍
ロビン・ウィリアムズって昔はコメディのイメージが強い印象だったけど、誰かに何かを諭す温かい役柄がピッタリとハマる役者さんだなと再認識しました。
レナード役のロバート・デ・ニーロの演技力には脱帽。
特に、症状が戻ってきた後の痙攣で苦しむ演技は演じていることを忘れてしまうほどリアルで、他の患者の将来を案じて研究に生かしてもらおうと、自分の症状をビデオで記録するように必死に訴えるシーンは観ているこっちがしんどく感じるほどの迫真の演技。
ロバート・デ・ニーロの映画をまだそんなに観ていないので彼の凄さがよくわからなかったのですが、今作で少しだけ実感することができました🙏