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レナードの朝のakiyoshiのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
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窓に鉄格子、通路に檻、患者に対する態度(背後から急に話しかけるなど)、薬の雑な増やし方、さらには薬をオレンジジュースや牛乳で飲むとか、さすがに古い映画なので医療に関するところはめちゃくちゃです。
チック症や精神障害患者の演技も極端に大げさで差別意識が見えるところなので、さすがに今は真に受ける鑑賞者がいないことを祈ります。

現実の、いまの日本の精神医療については、医学書院の雑誌『精神看護』や「ケアをひらく」シリーズがおすすめです。図書館で借りれますし、初学者にも読みやすい本があります。

前半は夢みたいにできすぎている医療ファンタジーですが、素朴ながら重要なエッセンスがあるのは後半、3/4すぎたあたりでしょうか。レナードの一人で自由に散歩したいとか、過保護になってしまった母親への拒絶とか、人間として尊重されたいという人権の主張です。
結末は「かわいそうなひとの人生の代わりに健常者の僕たちはより人間らしく楽しく生きていくべき」といった医者・健常者目線の話となって残念ですが、患者主体の考え方のめばえが見えたところはおもしろいと思います。
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