ねぎ

レナードの朝のねぎのネタバレレビュー・内容・結末

レナードの朝(1990年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

有名な映画ですが見る機会を逃していたので視聴しました。

私の大好きなSF小説の一つに”アルジャーノンに花束を”があります。
知能を持つ喜び、そして知能が失われていく恐怖。

レナードの朝は実話を元にした映画です。
難病患者の実話を元にしている分、説得力がありますし、残酷でもあります。

人は興奮したり、喜び、快楽、ストレスを感じたりするたびに、ドーパミンなどの脳内物質を放出したり、受け取ったりします。

これらの分泌、受容のサイクルが過剰だったり不足したりすると、様々な症状が現れます。

パーキンソン病患者と、嗜眠性脳炎患者に共通点を見出したセイヤー博士は、ドーパミン不足によるものと結論付け、Lドーパ投与を行います。

脳というのは現代医学でも解明されていない領域の多い分野です。
時間、お金、そして勇気ある臨床患者らによる治験を繰り返して、今の医療があります。
効果の出るもの、出ないもの。
そしてなぜか効果が失われるもの。

知識や知能、意識や知覚といった、「私自身」がゆっくり失われてゆく絶望感、失望感は計り知れません。
薬の成果でこの世界へと戻ってきたレナードは夜を恐れます。翌日の朝が訪れないんじゃないかと。

躁状態のレナードは言います。
皆んな生きることの素晴らしさを忘れていると。
人生は自由で素晴らしいんだと。

不幸と幸せとは相対的で、私の日常生活で知覚するのは難しい感覚ですが、当たり前にやってくる朝にも感謝してみようと思います。
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