映画狂人

団栗と椎の実の映画狂人のレビュー・感想・評価

団栗と椎の実(1941年製作の映画)
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子供達が元気に走り回って喧嘩して木登りするだけなのにむちゃくちゃ面白い。
子役からこれほど自然な演技を引き出す事が出来る監督が今の邦画界に居るだろうか、演技を超えたリアルが本作にはあった。
細い橋の上での取っ組み合いの喧嘩なんて馬乗りになっての本気の殴り合い、それを見守る少年の胸のバッジが太陽光に反射して光る瞬間の奇跡的な美しさ。
木登りだって修行レベルの高さの木にガチで登らせる、こんなの今じゃ批判や撮影事故を恐れて誰も撮らない。
思い返せば幼い頃は落ちたらただじゃ済まない高さの場所にも平気でよじ登っていた、いつからか「恐れ」という感覚を学び無茶をしなくなってしまった。
僅か30分にも満たない短尺で少年の成長をしっかりと描き切る手腕には舌を巻く、逞しく成長した少年の姿に男の矜持を感じずにはいられなかった。
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