てっちゃん

ロスト・イン・トランスレーションのてっちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
とある方におすすめされていて、観てみますねと返事したものの、やっとのこと鑑賞したのが本作です。

事前情報としてあったのは、ソフィア・コッポラさんが監督されているとことだけ。
なので限りなく全裸に近い状態で挑んだわけです。

本作を観て思ったこと。

お金持ちの外国人が恵まれた環境で育ち生活しているのだけど、恵まれた環境だからこその辛さがあって、ああなんか自分だけ世界からの疎外感がすごいな、、と思っていたところに、同じくお金持ちで疎外感すごいなと思っている外国人のおじさんと出会う。

その舞台がトーキョーであり、トーキョーのぎらぎらした感じだったり、ごちゃごちゃした感じ、親切すぎるが故の居心地の悪さ、昭和からなんも進歩していない価値観の中で、その疎外感が強調される。

特に"日本素晴らしい"なんていうアホみたいな風潮があるけど、この本来の姿が正しいのだという場面には共感した。

そんな2人の友達でもないし、恋人でもないし、でもなんだから不思議な関係を描くみたいな感じが居心地よいみたいな感じなんでしょうか。

安易に想像つくのは、ソフィア・コッポラさんの自己投影がされている作品であるということ。
ソフィア・コッポラさんは日本に住んでいたこともあるということ、お父さんが偉大すぎるが故に辛いこと、不自由ない生活を送ってきたのだろうけどそれ故に辛いこと、などが反映されているのかなと思ったり。

そんな主人公をスカヨハ姉さんが演じていて(さすがの私もお顔と声を聞いて、スカヨハ姉さんや!って分かりました。にしてもめちゃお美しかったです)、彼女の豊かで繊細な表情の変化が上手すぎるから、作品の質をかなり底上げされていることは間違いないでしょう。

ビル・マーレイさんは一瞬で分かった。
ウイスキーのCMシーンは笑ってしまうし、家のカーペットの件は笑ってしまう。
独特の表情と脱力感。だけども圧倒的な存在感。

そんな2人が何気ない日常を過ごしていき、交流していって、なんともいえない関係性になっていき、疎外感を補完し合うところ、その疎外感の中にある美しさを描いていくところはお見事ではないでしょうか。

でも最後はどうなのよ?って感じだったかな。
せっかく本作の魅力である、あらゆる箇所での微妙なバランスが崩れてしまったように感じた。
微妙なままで終わらせるのが良かったんじゃないかな、その揺らぎこそが本作の魅力であると思うので。

でも本作はいろいろとゲリラ的(無許可?)で撮影されたシーンもあるらしく、当時のトーキョーを楽しめるという点でも面白いかもしれないですね。

地元にZIP FMというラジオ局があり、仕事中はそれを聞いているので(最近はCBCラジオに変えがち)、そこのパーソナリティの鉄平さんが出ているではないか!!と思ったのが、1番の衝撃だったかな。
てっちゃん

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