mone

ロスト・イン・トランスレーションのmoneのレビュー・感想・評価

4.2
この映画における日本は、かつての西洋を魅了した東洋のジパングではない。エキゾチシズム的要素も包含しつつも、むしろ言葉や文化の差異によって自らの居場所のなさ、よそ者感を浮き彫りにさせる異国として機能している。

生花を嗜み、寺社を訪れても心は動かされないスカヨハ。一方ビル・マーレイは仕事の撮影で日本に訪れるもCM監督や藤井隆と意思疎通が上手く取れなかったりノリについていけなかったり。彼等から見た日本人は少し滑稽に描かれている。
自身の人間関係と相まって、異国における孤独の中で出会ったスカヨハとビルマーレイの連帯。
海外で出会った同郷の人とは異常に仲良くなりがちだけど、彼等においては寂しさと孤独の共有が恋愛へまで発展していく。

アンジェラカーターが描いたような視点から、コッポラの切り取る「東京」がとても面白かった。都市特有の冷たさが主眼にありつつ、スカヨハとビル・マーレイの関係が関わるシーンでは対照的に温かみを感じさせる画が良い。
mone

mone