みかんぼうや

ロスト・イン・トランスレーションのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

3.7
ソフィア・コッポラの視点から描かれる我らがTOKYOと日本人。新宿パーク・ハイアット・ホテルに泊まったアメリカ人映画俳優と偶然同時期に泊まっていた新婚女性の出会いとTOKYOでの数日間のラブストーリー。

普段慣れ親しんでいるが故に新鮮だったTOKYOのお洒落な街並みを舞台にした、いわゆる“雰囲気映画”ですが、外国人の視点から見た日本の文化や慣習、日本人の描き方がなんとも面白かった。一応、国際交流関係の仕事をしているので、こういった異文化コミュニケーションやカルチャーショックなどをテーマにした作品にはグッと惹きつけられてしまいます。

本作を観て思い出したのは、カナダに住んでいた頃のカナダ人の友人が日本に新婚旅行に来た時。1日かけて案内をしたのですが、東京の人の多さや独特な文化に慣れなかったのか(彼女は人口2000人ほどのカナダでも小さな村で育ったので)、何度も「interesting」を繰り返していました。ニュアンス的に「面白い」という意味も50%くらいはあったと思いますが、おそらく残り半分は「よく分からない」という違和感だったと思います。

そんな普段の生活で接していたら、“普通”と思っていたことが、外国人の視点から見ると、時に妙にとても魅力的で面白く見え、時に滑稽で違和感に感じる(もちろん、分かりやすい誇張もありますが)。

本筋としてはTOKYOを舞台にしたちょっとお洒落な大人のラブストーリー(ただ、お互い配偶者持ちであることを考えると、ある意味、先日観た「花様年華」と一緒!?)が本題ではあるのですが、個人的には、この異文化コミュニケーションに面白味を感じた作品でした。

ちなみに、映像は、まるで日本旅行のイメージムービーのような美しさ(話に直接関係のない京都のシーンなど、完全に旅行プロモーション映像(笑))。

そして、実は、本作の主人公たちが出会うパーク・ハイアット新宿のレストランは、妻と一度食事に行ったことがありました。この映画を観た後、妻から「一度行ったことある場所だよ」と言われるまで完全に忘れていましたが・・・(本作は夜のシーンしか出てこず、私たちは夜は高いのでランチに行ったので雰囲気も違ったのですが)。実際にとてもお洒落な場所でしたが、映画で見ると、さらに何倍もお洒落に見えました。やはり映画マジックは凄いです。
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