フィルム上映で渋谷で鑑賞できることそのものにまず大きな価値がある。
スクランブル交差点、靖国通りのネオン、こんなに人が溢れていても孤独が際立つ独特な街東京。
20年前にこの作品と出会って、VHSで
観て、サントラ聴きあさったあの頃は本質的な理解はしていなかった。
東京に来なくても孤独に飼い慣らされていた二人が、東京のど真ん中でもっと深い孤独に突き落とされ、その孤独を拭い去りきることはないとどこか厭世的に受け入れたことでお互い少し楽になっていく様が美しい。
携帯もない、SNSもないあの時代だからこその温度のある孤独。
あの頃だったから作れた作品なんだろうな。
いつでもどこでも誰とでも繋がれる現代に懐古的に作ってもきっとこの仕上がりにはならない。
ソフィア・コッポラ自身の自伝的要素もあるみたいだけど、寂しさに押しつぶされそうになってもきっとこれを撮りに日本に来てくれたくらいには、日本嫌いにならないでいてくれたんだなと思うと感慨深い。