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ロスト・イン・トランスレーションのparaのレビュー・感想・評価

4.0
35mmフィルム上映

妙ちきりんな国、JAPAN
(実際の日本そのままだし、客観的に見て終始こっ恥ずかしく苦笑いするしかない。しかも海外では日本語部分字幕なしだそうなので本当に奇異だと思う)
そんな異国で出逢ったアメリカ人中年男性と若い女性の淡い気持ちを描いたコメディ。
高層階から眺める東京、ギラギラとしたネオンの東京。どちらもそこに居場所がない者にはより一層心許なく孤独感を募らせてしまう街。
しかも英語が通じないから輪をかけて孤立してしまう。
最も身近な人たちとも見えない距離が生まれつつある中でほんのひと時、多分袖振り合うも他生の縁。

フィルムの質感が映画の世界とマッチしていて良い。
そして何より選曲が最高。
サントラにも収められていますが、はっぴいえんどを選ぶセンスの良さよ。
ゆったり流れる風をあつめては日本人の私からすると沁み入るしそれだけで泣けるくらいなんだが、細野さん作曲のこの音楽が海外ではどう聴こえるのかな。

雑踏に紛れて消えゆくような儚さと様々な関係の間にそれぞれ生まれる溝を描いた大人の映画。
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