あなたのやさしさを何に例えよう

ロスト・イン・トランスレーションのあなたのやさしさを何に例えようのレビュー・感想・評価

4.5
カラオケのシーン、ピンクのウィッグを被ったシャーロットが良い。
そして「風をあつめて」が聞こえてくるなか、部屋の外で寄り添い合うボブとシャーロットがたまらない。

最後にボブがシャーロットを抱きしめて耳元で囁いた言葉には字幕なし。
そしてキス。
ロスト・イン・トランスレーションってそういう意味?!

◎ロスト・イン・トランスレーションの意味を考える。
2人の視点では、「トランスレーション(翻訳)のなかで迷子」って、東京で日本人に囲まれて迷子になる、自分を失うってことだろうし。
言葉が通じない環境に身を置くと、私たちは変化するのだ。ボブとシャーロットのように困惑する人もいれば、ケリー・ストロングのように騒ぐ人もいる。
で、そうなる要因って言葉だけじゃない。ニューヨークとロサンゼルスの違いかもしれないし、子どもがいない時と子どもが生まれて以降って違いかもしれない。
人生とは、環境の変化への適応の繰り返しだ。そこにおもしろさもあり、苦しさもある。
どうしようもないような寂しさを感じることもあるし、心が空っぽになる感覚を味わうこともある。もちろんこのうえない幸福感で胸がいっぱいになるときもあるでしょう。

(西洋人でも、東洋人しかいない環境に投げ込まれるとこうなる)

それにしても最後はなんて囁いたのだろう。
考えるだけでうっとりしてしまう。

バカンス系の映画に大別できる(ちょっと強引かもしれないけど)が、東京では、というか日本では、ヨーロッパのような時がゆっくり流れるようなバケーションは実現しないんかなあ。ギョーム・ブラックみたいにならない。

ホテルの部屋のファックスとか
アナログで好き!ってなる

23.11.29
ル・シネマ 渋谷宮下