幕のリア

切腹の幕のリアのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
4.7
新文芸坐、追悼・橋本忍特集。

芸州広島、福島正則が改易され、1万もの藩士が浪人となる憂き目に。
仲代演ずる津雲半四郎が井伊家の江戸屋敷を訪い、逼迫した生活にピリオドを打つべく切腹の場所を拝借したいと申し出る。
井伊家家老が言うには、以前に同じく芸州の浪人から同様の申し出があったと言う…

会話劇から始まる、体制の中枢にある者と羽根をもがれた落伍者の対峙。
サスペンスに満ちた脚本で、予期せぬ悲劇に巻き込まれた侍達の救いのない人生の顛末が映し出される。

クライマックスに至っても、カタルシスは得られない。
武士道の名の下、面倒な事に蓋をする社会悪、そこに生きる者の醜悪に、強烈なアンチテーゼを突きつける。


2018劇場鑑賞77本目
幕のリア

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