うにたべたい

ヤマトタケルのうにたべたいのレビュー・感想・評価

ヤマトタケル(1994年製作の映画)
3.8
ヤマトタケル伝説を元にした特撮映画。
アニメ、マンガ、小説などのメディアミックス展開を前提としたシリーズの中心となる映画です。

当時、続編も企画されていたそうなのですが、興行収入が想定より低く、続編は作られませんでした。
ちなみに本作の続編が作られた場合、伝説の企画のみの怪獣"バガン"が登場予定だったそうです。
もし実現していたら、バガンが日の目を見ることができたのにと思いますが、バガンさんはこの不憫さがアイデンティティーかもと思わなくもないですね (ちなみにSFCのゲームでバガンが登場しています)。

一応、神話が元になっています。
ヤマトの国の王子として生まれた双子、「オオウス」と「オウス」だったが、術士「ツキノワ」より、双子は不吉だと告げられたため、オウスは捨てられることとなる。
だが、窮地をアマノシラトリによって救われ、オウスは父の妹「ヤマトヒメ」の手によって育てられます。
そんなある日、洞窟の中でオウスは緑色の勾玉を手に入れ、"三つの光を手に入れる"というお告げを聞きます。
その後、宮に上がることが許されたオウスでしたが、母の「イナヒヒメ」と兄のオオウスを殺害した罪を着せられ、父・ケイコウから南方のクマソ討伐の任を命じられます。
オウスは、お供の「セイリュウ」、「ゲンブ」と共に、クマソの元へ向かうという展開です。

記紀神話では、オオウスとオウスは双子ではなく、オウスは"オオウスの手足を引きちぎって袋に包んで捨てる"というメチャクチャなことをするので、このあたりはアレンジされています。
登場人物やあらすじは微妙に記紀神話から取り入れられているのですが、神話は知らなくても楽しめます。
ただ、スサノオが牛頭天王を名乗っていたり、クマソ討伐の折、オウスが女装をして近づいたりと、神話を知っていたらニヤリとするネタが散りばめられているので、知らないよりは知っていたほうがいいかなくらいに思います。

ストーリーはある程度、アレンジして取り入れているのですが、それ以外の部分では、ヤマトタケルは目からビームを放ち、オトタチバナヒメは印を結んで手から火球を放つなど、やりたい放題です。
作中登場するアマノシラトリというメカニカルな鳥は、時空を操って宇宙も飛翔できるというので驚きです。世界観どうなってるんだ。
最終的には巨大ロボが登場してヤマタノオロチと戦うので、男の子は大はしゃぎの一作になっています。
すげぇ!ヤマトタケルってこんな話だったんだ!

基本的には特撮SFで、神話は参考程度の様子です。
特撮にも力が入っていて、中ボスのように登場する大怪獣とのバトルはなかなか迫力があります。
怪獣好きにおすすめしたいヤマトタケルの物語でした。