fujimi

百年恋歌のfujimiのレビュー・感想・評価

百年恋歌(2005年製作の映画)
3.6
1話目、高雄から虎尾まで行った彼女と
再会した青年2人を変にクロースアップで撮らずにロングショットのまま捉えてるのがとてもいい。

2話目。サイレント仕様なことでハッとしたんだけれども、これまでの侯孝賢の映画ってある意味でサイレント映画みたいな事してるのでは…?とある台湾の遊郭の男女の話。侯孝賢がこれまで映画でやりたかったことの最高潮のようにも思えるこのエピソード。映画の誕生時にはまだ音がなかったから、人々は皆画面に注視しただろう。
2000年代に敢えて無声映画をオムニバスに入れ込むとは、この監督がいかに画面の中に登場人物たちの生きた痕跡を残そうとしているのかがわかる。

3話目、失踪するバイクに跨る2人の男女。
3作とも同じ俳優が演じているのは承知だが、現代にもなると2人の関係性は全くプラトニックではなくなる。その証拠に冒頭がバイクに2人乗りのシーンなのである。
侯孝賢映画にはこれまで手紙というものが登場してきた。3話目は現代だからそれが電子メールという形で登場する。

オムニバスという形式で描くことで、
この2人の男女が時代を超えて魂で愛し合っているという印象を受けてとてもよかった。
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