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ホタルのぉゅのレビュー・感想・評価

ホタル(2001年製作の映画)
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2021年 鑑賞 21-302-19
「駅 STATION」「居酒屋兆治」「鉄道員 ぽっぽや」等の、降旗康男監督・脚本による、戦争の傷跡を内に抱えて生きる夫婦の間愛の作品で、東映創立50周年記念作品。私がスコアをつけるのは烏滸がましいと思ったため、スコアは遠慮させていただきます。

桜島を望む鹿児島の小さな港町で静かに暮らす山岡秀治(高倉健さん)と妻の知子(田中裕子さん)。漁師をしていた秀治は、知子が14年前に肝臓を患い人工透析が必要になったのを機に沖合での漁をやめカンパチの養殖を始めた。時代が「平成」に変わったある日、秀治は藤枝(井川比佐志さん)という男が青森の冬山で亡くなったことを知る。藤枝は秀治と同じ特攻隊の生き残りで、彼の死に秀治は愕然とし...

“進水式から今日でちょうど14年ね 私が透析を始めた年と同じだ”
桜島、進水式、妻の透析、夕日、魚の群れ、カンパチの養殖、夫婦二人三脚。
鹿児島と青森の交互構成。秀治が特攻隊出身なら、あの青森の人も特攻隊出身?

“不調ならいつでも引き返せ 死ぬことが目的じゃないんだ”
10代の特攻隊ってのは... うーーーん、言葉にできない。この世の中があるんは戦時中の方々のお陰だというのも理解している。でも、戦争はしてはならないことも理解しているし、戦争を持ち出すと隣国がああだこうだ言うことも知っているし... 凄く敏感な話で、臭い物に蓋のようになってウン十年...
ホタルになって戻ってくるっていうエピソードが、胸に刺さる刺さる!話し手の感情もより増すも感情がそこにあった。

藤枝の訃報。藤枝の孫・真実(水橋貴己さん)の声も相まって... 苦しい...
雪、ただ冷たいものじゃなくて、柔らかい!2羽の鶴、夫婦鶴のような山岡夫婦。ピンクのバラ、韓国側との問題、朝鮮半島出身者でも、特攻隊なら遺骨は受け取らない... 戦時中の話も辛い、病気の話も辛い。でも、ハーモニカの音色が優しく包んでくれた。秀治もそうだったんだろう。辛い時にはハーモニカを吹いていたのだろう。

“2人で1つの命じゃろが 違うんか?”
特攻隊、戦争の記憶、「殺したんだぁ...」富子(奈良岡朋子さん)の言葉...戦争色もある。反戦作品だ!という気持ちもわかる、特攻隊を批判している!というのもわかるが、戦争を乗り越え、「昭和」という長い時代が終わり、「平成」という元号に変わり、人生の岐路に立った夫婦を中心に、周りの人たち、戦争を体験していない人たち、そして韓国の人たちをも描いた作品に思った。風呂敷を広げ過ぎたため、全てが中途半端になってしまったのか?とも思った作品だった。

やはり、東映創立50周年記念作品というだけあって、高倉健さん田中裕子さん夫婦を始め、奈良岡朋子さん、井川比佐志さん、夏八木勲さん、石橋蓮司さん、中井貴一さん、小澤征悦さん、原田龍二さん、小林綾子さん、田中哲司さん、小林稔侍さんと、記念作品らしい豪華な布陣!青森や鹿児島だけでなく、韓国のロケもあった。お初だったが、水橋貴己さんも良かった!本当に(当時の)今どきの女性って感じと、爺ちゃん好きないもっぽい女性のバランスが取れた、いい娘さんだった!

「私は本当に幸せじゃと思った あんたと一緒に生きてこられて」と思わせられた結末の作品。

あと、自然や風景がいいっ!さすが木村氏の匠の技のなせる風景だ!
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