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性賊 セックス・ジャック いろはにほてとのkossのレビュー・感想・評価

3.8
1970年の安保反対デモのリアルな映像のオープニング。論理的で妄想的な足立正生の脚本。若松孝二は時代精神を映画に焼きつけている。

地区組織の会合に潜入する警察は破防法をうそぶき、逃亡するメンバーは薔薇色の連帯という性交を繰り返し、匿う元工員で泥棒を自称する川向こうの青年はテロリスト。組織のハイジャックは裏切りで失敗するが、川向こうの地から共産党本部爆破、交番爆破、首相暗殺と次々に実行される。メンバーの歌うインターナショナルと満鉄小唄(大島渚への賛辞か)に対して川向こうの青年の語る天誅。

ハイジャック決行を知らせに来た処女の女子学生との薔薇色の連帯からのパートカラー。雨の水溜りでの泥んこの同志喧嘩。警察との銃撃戦はぬかるんだ川床。裏切りの地区組織リーダーの射殺後のラストの赤いジャンパーと揺れながら進むカメラ。

連帯と組織は個人のテロへ。この映画の翌年に連合赤軍が生まれ、高橋和巳が死んでいる。
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