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モンテ・ウォルシュのrollinのレビュー・感想・評価

モンテ・ウォルシュ(1970年製作の映画)
3.7
1970年製作のハリウッド西部劇。
監督のウィリアム・A・フレイカーは『ブリット』や『ストリート・ファイター』の撮影監督も務めた才人でがんす。
コルブッチ監督のガンマンたちがメキシコ革命に活路を見出していった頃、仕事を干されて緩みきってるアメリカのカウボーイたち。『豹/ジャガー』や、本作と同年製作の『ガンマン大連合』、そして『シェーン』にも出演した西部劇を渡り歩く俳優ジャック・パランス。OPのイラストやテーマはマカロニウエスタンやニューシネマの良いとこ取りな感じ。

大陸横断鉄道の開通に伴って西部に進出して来た東部の金融業者による土地の買収と、大雪で全滅した牧場。ハローワークと化した町と、多すぎるカウボーイ。やむを得ない人員削減によって仕事を失い、悪事に手を染めていく若者たち。現代にも通じるテーマの抽出は本当に見事です。

リー・マーヴィン演じる老いたカウボーイと相棒ジャック・パランスの関係性や、馬の群れを囲い込むダイナミックなシーンは明らかにTV西部劇の超傑作『ロンサム・ダブ』に影響を与えているし、じゃじゃ馬慣らしのディザスターシーンはもう何か怪獣映画みたいでちょっとどうかしてる。

一番良かったのはかつての仕事仲間であり、リストラによって暗黒面に堕ちたショーティの美しく生々しい散りざま。
映画自体とても完成度が高く、キャストも名演なんやけど、少々湿っぽく感傷的すぎて個人的にはあまり好きなタイプではありませんです。それこそショーティを撃った時の発砲音が物凄くのっぺりとして湿気た音であったのも何か本作を象徴してる気がするのでがんす。
やっぱり漢はカラッと、レオーネ監督の乾いた渓谷音やコルブッチ監督の無慈悲な爆音じゃないとね。
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