Ryan

水の中のナイフのRyanのレビュー・感想・評価

水の中のナイフ(1962年製作の映画)
3.6
無限ヨット時間


ストーリー
アンジェイとその妻・クリスティナは裕福な夫婦で、休日に2人きりでヨットで船出しようと、湖畔の桟橋へ自動車を走らせていた。そこへ、ヒッチハイクの若者が飛び出す。


監督 ロマン・ポランスキー



今やハリウッドを追われた監督の長編デビュー作。
東京都写真美術館でよく上映されていたことから興味があり鑑賞。
面白いけど時代を代表するほどとは思えない。

今作は登場人物が3人だけの限られた閉鎖的空間で送る心理ものだが、なんと言ってもセリフがオシャレ。
無駄を省き、必要最低限のセリフだけでキャラクターたちの性格と感情を表現している。
ヨットの描写は我々日本人には馴染みがないものであり、無愛想に船長面をするアンジェイに観客達もムカつくだろう。
しかし、それも伏線となり終盤の展開に物語は傾いていく。

必要最低限の映画なので分かりづらい部分と長回しの映像でここまで惹きつけられるかと面白い両面がある。
モノクロで地味ではあるから今作を気にいるかどうかは人それぞれ。
アーティスティック作品といってもいいだろう。
この映画に内蔵する暴力的表現についてだが、どこか硬い演出ながらもリアルさは感じる。
今思えばそれは監督のロマンポランスキー自体が性的倒錯者であったからだとわかるが、当時何も知らずにこれを観たら凄いのかもしれない。
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