たてぃ

水の中のナイフのたてぃのレビュー・感想・評価

水の中のナイフ(1962年製作の映画)
4.2
ロマン・ポランスキー監督のデビュー作ですが、スタイリッシュでジャジーな作品でした!
休暇で湖畔へ向かう“大人”の夫婦が乗る車にヒッチハイクしてきた“若者”。到着後、“大人”の夫が“若者”を自家用のヨットに半ば強引に乗せる。作品の大半はヨットの上で起きたことを描いています。

“大人”と“若者”の考え方の世代間対立だと思ったんですが、“若者”がナイフを所有してることが分かると私自身の見方が変わり…(あくまでも個人的なものです)

作品が公開された60年代前半、核戦争が起きるのではと緊張の走るアメリカとソ連の2つの大国による冷戦真っ只中で制作国のポーランドはソ連支配下の共産国家。その時代背景を踏まえ…

湖=宇宙、ヨット=地球、人=国、ナイフ=核

という図式を勝手に当てはめて…登場人物は…

“大人”の夫=ソ連
“大人”の妻=ポーランド
“若者”=アメリカ

という対立構造のように見えました…

ヨットの上という限られたスペースでナイフを持つ恐ろしさを知るのは“大人”の夫だけで“若者”はまだ分からない…だからナイフで遊んだりするんです…それを見た“大人”の夫は独占欲に駆られ…一方、“大人”の妻は傍観者でどっちつかず。今は“大人”の夫側ですが、“若者”側についてもいいという浮気心もあります(ポーランド自体もその当時民主化の動きがありましたし)。そんな3人が何のわだかまりもなく楽しんだのがテーブルを囲んでのゲーム…まさにオリンピック…

ちなみにこの時代のポーランド映画ではワイダ監督の「灰とダイヤモンド」(‘57)もカッコいい作品です。
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