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おもいでの夏のodyssのレビュー・感想・評価

おもいでの夏(1970年製作の映画)
3.5
【初体験ものの古典かな】

むかし、リアルタイムで見損ねた映画である。
性的体験のない少年が、年上の美しい人妻と・・・という、いわば王道を行くような設定。

年を取った今、DVDで見てみると、まずタイトルが"Summer of '42"となっているのに気づく。日本語のタイトルだと時代性が感じられないが、第二次大戦が始まってまもなくの頃の話なのだ。

ただし、戦争の影は作中ほとんど感じられない。例外は美しい若妻が出征する夫を送り出し、そして彼女に思いを寄せる少年が或る夜訪ねていくと、夫の戦死を伝える電報が届いている、というシーンくらい。Wikipedia英語版で若妻を演じたジェニファー・オニールの経歴を見ると、この映画について"she plays the young widow of a soldier killed in World War II"と書かれている。つまり、少年と一夜を過ごすときは未亡人だった――だから彼女からすると不倫にはぎりぎりならないということなのかな?――わけで、その辺に、フランス映画なんかとは違う微妙なモラル意識を感じるのは、的はずれだろうか。

いずれにせよ、映像はとてもキレイで、ジェニファー・オニールもたいへんに美しい。彼女は南米生まれで、父はスペイン・アイルランドの混血、母は英国人だったようだ。こう言ってはアメリカに失礼だが、アメリカ人らしからぬ清楚でよく整った美人であるのは、出自のせいなのだろうか。

前半の進行はこの種の映画にありがちな感じで、肝心のシーンに来るまでが多少まどろっこしいし、年をとった目でみると他愛がない。しかし人間にとって性的初体験が大切だというのは不変の真理だろう。そういう意味からすると、ヒロインの魅力と映像の美しさによってこの種の映画の中では上位に位置づけられる作品と言えるのかも知れない。
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