私にもありましたよ。
年上の女性に対するあこがれ。
それを性的な対象として意識するようになると、なんだか態度がおかしくなっていきました。
その点本作の少年ハーシーは、自分の気持ちに正直で、彼女の家に行くときには正装していったりします。
友人の悪ガキたちとの関係も面白く、件の医学書を読み漁るシーンなどはなんだか懐かしくて微笑ましく見てしまいます。
この年頃のガキたちがエロ本を回し読みするのと同じですね。
ハーミーが、その友人にそそのかされて、薬局に避妊具を買いに行くシーンがあるのですが、最初は怪訝な顔をしていた店の主人が、ハーミーのぎこちないやりとりにすべてを察して、売ってあげるシーンもいいですね。
やがて、ドロシーに悲劇が訪れ、その夜にハーミーを受け入れるのですが、このシーン約15分くらい、台詞も効果音も音楽も一切なく、外から差し込む光と影の中、二人の姿が部分的に見えるだけで二人の成り行きを描写する。
このシーンには感激。
寂しさも悲しみも怒りも愛おしさもすべての感情が無音のシーンの中で爆発する。
そして、静かに夏が終わって、少年が一つ大人になるという誰にでも経験があるだろう出来事を、上質の詩を読み終えたような余韻を残して物語は終わります。
ドロシーを演じたジェニファー・オニールは永遠に美しい年上の女性(ひと)として、いつまでも私の心の中に残り続けます・・・