taka

クローズ・アップのtakaのレビュー・感想・評価

クローズ・アップ(1990年製作の映画)
4.8
非常に多層的内容で見(魅)入ってしまう

関係者本人達が演じる再現と実際の映像がミックスされたドキュメンタリー
その手法と"映画"が内包された題材、そして事件をほぼリアルタイムで追えたことも神がかっていた
映画的面白さも随所にあり、とてもスリリングでもあるしイラン独特の法廷劇としても観ることができる

映画撮影というカメラの介入による問題点や疑問も浮き彫りになる
実際の公判を撮影する事で様々な影響があったのではと推察する
それは被害者、容疑者に限らず同席した人も
後に再現することになった当事者たちの心理も大変気になるところ
再現パートの画的面白さは監督の手腕も大きいのだろう

イランの道徳観や犯罪心理についても興味深く考えさせられる
饒舌な被疑者は純粋な部分もあるのだが同時にとても怖くなってくる
映画好きが映画監督を演じたペテン
被害も軽微?だししょうもない出来心と罪で片付けられそうだけど人を欺く行為は非常に重いと自分は思う



〜ネタバレ〜







最後のご対面〜にけつ〜再会は真のサプライズ
音声の欠落もある意味"神"
マフマルバフ監督本人の見解が気になるところだがそれは二人だけが知るところ

自己満のための稚拙な詐欺行為だし余罪もかなり怪しい
とても擁護はできないが、"映画"への愛情に偽りはなかった
環境が変われば(特に俳優業!)実力を発揮しそうだけどサイコ気質は変わらないかも?
・・と心配していたが、付属のリーフレットでその後を知る
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