Kaito

127時間のKaitoのレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
3.8
テレビで放送されていたものを録画し鑑賞。登山家のアーロン・ラルストンの自伝をもとにした作品。主人公のアーロンはユタ州でキャニオニングの最中に谷に岩と共に落下し右手が岩に挟まってしまう。抜こうとしたが一向に取れず彼はそこで身動きを取れなくなってしまう。救助も呼べず、誰も来ない。彼は生きて帰れるのか…という話。監督はトレインスポッティングやスラムドッグ$ミリオネアで有名なダニー・ボイル。実話ベースの話であるだけに話の説得力が強い。登山やトレッキングなどのアウトドアな趣味にはこのような事故はつきものであるということは忘れてはならない。自己責任という言葉1つで片付けてしまえばそれまでだがこの作品には自己責任にとどまらないメッセージがあると感じた。いくら自己責任であると言い、このような事故が発生して右腕を失ったとしても恐らくアーロンはこのようなアウトドアな趣味をやめることはないだろう。むしろこの経験をしたことによりアーロンは心身共に強くなってまたアウトドアに行くのではないだろうか。人にとって何が大切で何を尊重するかはその人次第である。例え右腕を失ったとしても人はワケがあれば人生においてアウトドアを尊重するだろう。例えそれによって大切なものを失ったとしても。人間には2つのタイプがあるとこの作品を見て感じた。やめてしまう人間とどこまでも止まらない人間。確かに彼の体験は間違いなく恐怖体験だろう。しかし経験した彼にしか見えない景色や話せない事柄があるのも事実である。彼をバカなことをやっているなと笑いとばす人もいれば感銘を受ける人もいる。私を含め人間なんて所詮その程度の浅い生き物である。各人にとって何がその人を変えるかというのはそう簡単には分からないし見つからない。下手すると死ぬ方が先かもしれない。良くも悪くも様々な経験をして自分が変われる契機を見つける。このような「冒険」を命が尽きるまで全うすることこそが人生というものなのではないだろうか。
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