Omizu

突然炎のごとくのOmizuのレビュー・感想・評価

突然炎のごとく(1961年製作の映画)
3.4
【1964年キネマ旬報外国映画ベストテン 第2位】
フランソワ・トリュフォーがアンリ=ピエール・ロシェの小説をもとにしてつくられた一作。英国アカデミー賞で主演女優賞(ジャンヌ・モロー)にノミネートされるなど高い評価を得た作品。

やはりトリュフォーは合わない。前半を一度みたがすっかり忘れてしまって最初から見返した。全然覚えていなかった。

ジュールとジム、二人の友情の間にジャンヌ・モロー演じるカトリーヌが入ってくることで亀裂が入っていく。

画面サイズを利用したズームインなどトリュフォーらしい実験的な手法が使われており、それが独特の味を出している。シンプルな物語ながらも男女三人の関係性をよく描いている。

奔放で大胆な女性カトリーヌ、彼女の魅力が満載の一作だ。当時女性解放運動が世界中で広まっており、いわゆる「女性映画」として異例のヒットを記録したという。本能の赴くままに行動するカトリーヌに自分をみたのだろう。

トリュフォーの作家性を大いに感じつつ、登場人物の心情を丁寧に描いている。あまりのりきれなかったトリュフォーの他作品と比べると、個人的に印象に残る作品ではあった。

しかしやはりというべきか、どうしてもトリュフォーの作品は好きになれない。よく出来ている作品だとは思うが、そこに好みの何かがあったかというと…この作品独特のおもしろさを見出せたかというと微妙。うーん、自分にとってトリュフォーは鬼門だ。好きな人は好きだと思う。
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