シャブ太郎

祭りの準備のシャブ太郎のネタバレレビュー・内容・結末

祭りの準備(1975年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

閉鎖的な田舎のしがらみを抜け、東京へ旅立つ若者への応援歌。

田舎特有の風通しの悪く澱んだ人間関係だから、どれだけ目に余る人間だろうと、親戚だから面倒を見なければならないであったり、独特な人間同士の依存関係がしがらんだり、終始すごく嫌な感じである。

若く、聡明な楯男はそんな田舎で腐っていくであろう未来がたまらなく苦痛で、東京へ旅立とうとする。
おら東京さいぐだ〜 だが、子離れできぬ親に反対され、地元にも、地元なりの慕ってくれる女の子や 原田芳雄演じるかっこよすぎる兄貴分も居て、東京で野垂れ死ぬよりはマシかも… そう思えてしまう。

東京へ行けばすべて解決するわけではない。
スラムダンクの谷沢みたいに「東京の空気を吸えば 高く飛べると思ったのかなぁ」となってしまうかもしれない。

不安でも、若い情熱で、楯男は旅立つ。
兄貴分である利広だけが、精一杯の万歳三唱で送り出す。

もはやどこへも行けず、かといって事故的な強殺で逃亡犯として死んでいくであろう、利広だけが送り出す。
利宏は、要領良くやれる楯男とは対照的な、この街でしか生きられない男である。
「俺の分まで頑張れよ」 そんなメッセージが心に響いた。


自分もこういう閉鎖的な田舎が窮屈で、上京した身であるから、すごく元気を貰えた。

自分もまた、利広のために頑張りたいと、そう思う。