工藤蘭丸

祭りの準備の工藤蘭丸のレビュー・感想・評価

祭りの準備(1975年製作の映画)
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これは1975年のキネ旬ベストテン2位に入った黒木和雄監督作品だけど、脚本を書いた中島丈博の半自伝的な作品で、高知県に住む若者がシナリオライターを目指して上京するまでを描いた青春映画の傑作でした。

育った環境はまるっきり違うけど、ちょうど映画監督を目指して上京しようとしていた私ともダブるところがあって、大好きな作品でしたね。ラストシーンが感動的で映画も3~4回は観ているし、本作の脚本も読んでみたくて、1975年の年鑑代表シナリオ集も買ったものでした。

初めは高3の時に観たんだけど、上京してから文芸坐のオールナイトの原田芳雄特集でも観たことがあって、その時は本作がデビュー作だった桂木梨江も観に来ていて、握手もしてもらったことがありますね。スクリーン上で見事な裸体を披露してくれた女優さんが目の前にいるというのは不思議な気分で、大いに感激したものでした。

本作に出てくるセリフに、「新藤さん言う偉いシナリオライターが雑誌に書いちょった。誰でも1本は傑作が書けるってね……それは、自分の周囲の世界を書くことじゃと」というのがあって、新藤さんというのはもちろん新藤兼人のことだけど、全く同じ内容のセリフが、先日観た『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』にも出てきていました。