ヘラルドスクエア

祭りの準備のヘラルドスクエアのレビュー・感想・評価

祭りの準備(1975年製作の映画)
3.8
黒木監督の名作。
渦巻くエネルギーに圧倒されます。
とにかく映像からの圧力がすごい。
演出もさることながら、名匠木村威夫さんの美術監督によるところも大きいです。
70年代のATGのテイスト全開。
常連絵沢萌子さんもキャットファイトの末におっぱいを軽々と見せてくれます。
制作当時の最先端、中上健次さんや大江健三郎さんなどからの影響を受けた神話的ナラティブや、土着の血縁サーガがどろどろしたワールドを形成しています。
その中で唯一の純粋な女神として竹下景子さんが機能しています。
彼女の超レア最初で最後の濃厚な濡場もここで見られます。あ、おっぱいのアップはボディーダブルです。残念。

あちらこちらで開けっぴろげセックス三昧で、包丁振りかざして暴れたり。極め付けは気のふれた娘が老人(怪優浜村純さん!)に手ごめにされた挙句孕まされ、その後娘は出産と同時に正気を取り戻し、老人は自殺。これらは脚本の中島丈博さんが体験した事実によるものだそう。
昭和30年代はこれが大袈裟でない現実、日常なんだと思います。
閉塞した田舎であることを差し引いたとしても、これが当時日本の原風景だと…。
『三丁目の夕日』シリーズの、激甘で過去をあまりにも美化しているとの山崎貴監督への批判は、大いに分かる気がします。