チッコーネ

ローマの哀愁のチッコーネのレビュー・感想・評価

ローマの哀愁(1961年製作の映画)
3.5
テネシー・ウィリアムズ原作。
ヴィヴィアン・リーは前半で独特のノーブルな魅力を発揮し、後半で堕ちていく中年女の悲哀を表現、見応えはあるのだが…。
ブリッジとなるべき中盤が弱い。

ジゴロを拒絶する知性を備えていたはずの中年女が、なぜよろめくのか。
その決意や覚悟、あるいは懐柔をしっかりと表現できていないため、作品全体から説得力が失われている。
これは監督の力量不足か(もともと舞台演出家らしい。本作の不評で映画界からは撤退)、それともヴィヴィアン・リーに気を遣いすぎた結果なのか。

個人的にはドイツの女傑、ロッテ・レーニャが出てきたのにびっくり!
クルト・ワイルのミューズとしての歌声は聞いたことがあったが、動く彼女を観たのは初めてである。
『ローマ社交界で暗躍する因業ババァ』というキャラ設定は、もう最高。
ジゴロだけでなく、ゲイ男爵のお相手まで調達するという…。
こうしたサブキャラへのスパイシーな性格付けは、ウィリアムズの面目躍如といった感じだ。

もし私がマドンナだったら、ベイティと付き合っている時に「で、役をもらうために、パオロよろしくウィリアムズにご奉仕したわけ?」って質問しただろうな~(笑)。