Kakumoto

ブルゴーニュで会いましょうのKakumotoのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

父と息子の物語。20歳で実家のワイナリーを出て、ワイン評論家として成功した息子。ワイン畑が売りに出される危機に際し、パリの生活を捨て実家に戻ってくる。

ネタバレあるので、以降読まれる方はご留意を。

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父はまさに頑固親父を絵にかいたようなキャラ。「ワイン畑経営は家族でするもの」という信念、そして今まで厳しい中でも一人で経営してきた自負、この土地を捨て華やかな舞台で活躍している息子に対する嫉妬心もあり、息子を認めることが出来ない。

息子は父を疎ましく思う。自分はパリの生活を捨てて戻ってきたのに、父は協力してくれない。それどころか、息子が見つけてきた新規の取引先に、失礼極まりない態度で、追い返してしまう。自身の地であるブルゴーニュを誇りに思う余りに、ボルドーをとても馬鹿にしてしまうのだ。

因みに、個人的にボルドーファンの私としては、これは許せないのだが(笑)

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それはさておき。

頑固父も、でも、そんな自分を分かっているのだ。息子を許せないのと同じ様に、いやそれ以上に、自分を許せなかったのだ。

2人のわだかまりは、最終的には融けてゆく。大きなきっかけとかがある訳ではなく、徐々に、寄り添っていく。兄弟も力を合わせて。

特に義理の弟、髭もじゃの彼が、間を取り持ってくれてて、個人的にはMVP!だと思う。

MVP君の嫁である、少し癖のある妹君。癖はあるけど、家族想いなのは同じ。隣人は、これまた信念が強過ぎる女主人。その女主人の娘はヒロイン役で、自由人。(アメリカ人と結婚予定なのですが、息子にも惹かれる。うーん、これなんかが、ザ・フランスなんでしょうか。。。苦笑)。その娘の旦那様、少しかわいそう。

父子の葛藤、こんな家族の物語。
日本でもありそうに思う。

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映像美は堪らない。

ワイン畑が美しい!広い大地と空。季節や天候で変わっていく畑の色。見ていて惚れ惚れする。そして、細かな描写も好きだ。嵐が近付く様は、空模様を撮すだけでなく、小さなものが段々と風に舞っていき不安を駆り立てる様子なんかも、気に入っている。

ただ、ラブストーリー要素は、どうだろう。アクセントになると見るか、感情移入出来なくて「異物」と感じてしまうか。「自身に正直に生きよう」というメッセージと捉えるか。

私自身は、この点評価出来なかった。


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とはいえ、勿論オススメです。2016年、フランスの作品。
Kakumoto

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