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クリープスのRのネタバレレビュー・内容・結末

クリープス(1986年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1986年のアメリカの作品。

監督は「ドラキュリアン」のフレッド・デッカー。

あらすじ

遠い銀河を漂流する謎のカプセルが地球の学生街に墜落、それを発見した男子学生はカプセルに潜んでいた宇宙ヒル「クリープス」に寄生されてしまう。それから27年後、大学に保存されていた冷凍死体から、その脳内で増殖したクリープスが拡散、宿主が次々とゾンビ化し、学園は大パニックに陥る。

配信ではあまり観ることができない作品を観てみよう、題して「Digムービー」第4回は今作。

元々は今は無き映画秘宝の「寄生モンスター映画」特集のページで紹介されていだんだけど、結論から言えばかなり面白かった!

お話はあらすじの通り、上記で書いたように「寄生モンスターもの」に加えて学園ものが組み合わさったロバート・ロドリゲスの「パラサイト」みたいなジャンルハイブリッドな作風なんだけど、年代が86年なので、まぁ入りはものすごくチープです。

例えば、冒頭、どうやら今作の寄生モンスター「クリープス」が入っているカプセルを奪い合う宇宙人の描写が入るんだけど、まぁーなんかETのパクリみたいな見た目で間違いなく人が入ってそうな着ぐるみ感と表情が一切変わらないTHE人形の感じが観ていて微笑ましい。

で、まず本筋に入る前に舞台の27年前から始まるんだけど、ここは非常に怪奇テイストというか、白黒画質もあってすごくノスタルジック。で、ここでクリープスが入ったカプセルを開けちゃった男子学生が寄生されちゃうのと、その男子学生を待つ女子学生が付近に出没した殺人鬼に後ろから殺されちゃうシーンでTo be Contined、現代へ。

男子学生、女子学生それぞれの運命は!?もう、ここまでで俄然ワクワクしてくる入りなんだけど、そっから現代パートに移るとそっからは一気に学園もの、青春映画のテイストが一気に押し寄せてくる。「モンスターズ・ユニバーシティ」でも出てきた「オメガ」や「カッパ」などの名前がついた学生寮に、エリート集団フラタニティと落ちこぼれの主人公とその親友、どうやら劇中ではそれぞれ新歓のパーティーが開催されているらしく、庭にはトイレットペーパーがからみついた庭木とバカ騒ぎとアメリカの大学の風景が広がる。

で、面白いのは監督の趣味なのか、劇中の登場人物のほとんどが著名な映画監督の名前がつけられている点。例えば主人公はクリストファー・ロメロ(ジェイソン・ライヴリー「マッド・スピード」)、もちろんゾンビ映画界の巨匠、ジョージ・A・ロメロだし、ヒロイン、シンシア(ジル・ホワイトロウ「亡霊は二度死ぬ」)はクローネンバーグ、クリスの親友J・C(スティーヴ・マーシャル「ナーズの復讐II/ナーズ・イン・パラダイス」)はジョン・カーペンターとトビー・フーパー、そして、キーパーソンの刑事、レイ(トム・アトキンス「ヘルウィン」)はジェームズ・キャメロン、他にもランディスやライミ、ダンテにデ・パルマまでマジで端役に至るまで映画監督の名前を知っていればいるだけ、登場人物が出てくるだけで楽しめる作りとなっている。

で、この主人公のクリスとJ・Cが落ちこぼれというかスクールカーストの底辺でフラタニティのリーダーから冷凍保存されている27年前の死体を取ってこい!という指令を受けて、施設に忍び込んだはいいものの、容器から出したら死体が活性化、動き出しちゃったからさぁ大変!!

この死体を皮切りにどんどん大学内の人々が寄生されていくんだけど、他の寄生ものと異なるのが、寄生された人物にほとんど攻撃姿勢が見受けられない点。だから、どちらかと言うと主人公の名前のロメロの「ゾンビ」のようにリビングデッドで彷徨うだけ…なんだけど、その代わりに攻撃される、もしくは対峙する時に顔部分がバカっと割れてそこから数匹のクリープスが出てくるという悍ましいもの。

また、このクリープス自体の造形が見た目はまさに動くヒルって感じの芸がないものなんだけど、ゼンマイみたいなギアで多分動かしてると思うんだけど、ミニ四駆みたいに真っ黒な塊がサササーと動き回る様が非常に不気味で、現実でいうところの「ゴキブリ」に似た人間が生来持つ「嫌悪感」を呼び起こす造詣となっている。

で、後半からは1人また1人とクリープスに寄生されていくんだけど、悲しかったのがロメロの1番の親友であるJ・Cの最期。トイレで寄生されてしまうも、薄れゆく意識の中で1番の親友であり、多分1番大切な人クリスに向けてカセットテープでクリープスの弱点が「火」であること、そして「愛してる」と伝えるシーンはグッときた。そして、その後ロメロが地下にいくと熱で溶けたクリープスと共にJ・Cの死体が…うーん、哀しいラスト。

ただ、そんなエモーションも感じさせたところで起こるダンスパーティー大パニック!!転覆事故で死んだ多くの男子学生がクリープスによって寄生され、その男子学生たちが一挙、女子寮に乗り込んでくるんだけど、そこに現れる火炎放射器を持ったクリスとショットガンを持ったレイ刑事!!

ショットガンで男子学生の顔を撃つ→飛び出したクリープスにすかさず火炎放射器で火をつけるの連携攻撃が楽しい。また後半からレイは別行動にうつるため、ショットガンをクリスが、火炎放射器をシンシアが受け持っての連携攻撃で自ずと行動を共にしていくことで「吊り橋効果」で恋愛感情が高まっていくところも手際が良い。

また、そんな中で、なんといっても圧倒的においしいところを持ってくるのがレイ刑事!!この人マジでネットミーム化しそうな名台詞連発で口癖が「スリム・ミー」と「スリル・ミー」なんだけど、もう完全に元の意訳どこいっちゃったんだってくらい字幕任せに元の意味、度外視で自由に使いまくるw唯一「ワンダフル(上出来だ)」は元の意味が通るんだけど、そこの使い所も非常に皮肉が効いてて良い👍

また、後半ではゾンビ化した男子学生が大挙して押し寄せてくることをつゆ知らずのシンシア以外の女子学生に対して…

レイ「いい話と悪い話がある、彼氏たちがきたぞ」
女学生「悪い話は?」
レイ「みんな死んでる」

のシーンが最高に映画的だと感じた!!

そして、最後はクリープスが集まってなんだかタタリ神みたいになっているところで1人止まり、クリスの「スリル・ミー(やってくれ)」の合図でドカン!!主人公を差し置いて1人圧倒的主人公感を持つ漢だった。

まぁ、その反面、主人公が全然魅力的でなかったり、その主人公とヒロインがなんかいつのまにかいい感じになっちゃう都合のいい展開もあるにはあるけど、ラストも「未知との遭遇」的な締め方だったり、頭からお尻まで非常に映画愛とジャンル愛に溢れた愛くるしい作品でした!

こちらはAmazonなどでそれほど高値じゃない値段でお買い求めいただけます、是非に!!
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