horahuki

クリープスのhorahukiのレビュー・感想・評価

クリープス(1986年製作の映画)
3.9
良い知らせと悪い知らせがある
良い→君たちの彼氏たちがきた
悪い→彼らはみんな死んでる

宇宙からやってきたヒル型寄生虫に脳みそ食い尽くされてゾンビ化した住民たちがヒルを大量にばら撒いたせいで、オッサンが夜中に叩き起こされてスリルミー!ってなる青春SFコメディホラー。

『ザ・プレデター』公開の影響からか過去作が次々にBlu-ray化しているフレッドデッカー監督の第一作目。『ドラキュリアン』がBlu-ray化した時に「もしや…」と思ってたらこっちはホラマニから発売されました!この流れでデッカー完全復活とかしてくれたらめちゃ嬉しいんやけど!

『エイリアン』味のある宇宙船内からキショイ見た目した宇宙人が地球に向けてヒルを発射しちゃうとこからスタートするのですが、車の中でイチャコラしてたカップルが落ちてくる隕石を見つけて車を走らせる流れは完全に『マックィーンの絶対の危機』だし、一番明るい星は?とかロマンチックな会話してた時に落ちてきたもんだから、数ある星の中から颯爽と一番明るい星の座を掻っ攫ってく隕石さんの華麗さには笑っちゃいました。

主人公のロメロとカーペンター(フーパー)は親友で、ロメロが狙ってるイケてる美女がクローネンバーグなんだけど、クローネンバーグには嫌味ったらしいクソ彼氏がいるもんだから、何とか略奪しちゃおうと画策するロメロとカーペンターの親友の絆にチョビッと感動しちゃったりする青春ラブコメな雰囲気が楽しいし、過去に好きな人を守れなかったキャメロンおじさんが火炎放射器を自分で使わずに、『エイリアン2』でリプリーに持たせたようにロメロに渡して世代を超えたvsゾンビの共闘をするとことか激アツ!と言っても同年公開だけどね。キャメロンおじさんの舎弟っぽかったライミもデパルマもダンテも大して役に立たんかったのは残念…。

他にも『13金』で有名なカニンガム、マイナーとか、ランディス、コーマン等々ホラー映画監督の名前が至る所に使われてるので必見です。この流れならクレイヴンとかありそうだなって思ったんだけど、見落としちゃったかも。ちなみにゴードンはスチュアートゴードンではなくゴードンキャロルらしいです。

袋地に追い詰めた敵に向けて警官たちが一斉射撃するとこは『狼男アメリカン』だし、ヒル型エイリアンが人間を乗っ取るのなんて完全に『シーバース』。あっちはち◯こ型だったけど(笑)それと『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』っぽいとこもあったし、『プラン9・フロム・アウター・スペース』って人気だったんだなってのも驚き。あと、あんまり覚えてないから自分では比較できてないけど『スリザー』に影響与えまくってるようですね。なんとなくしか覚えてないけど、確かにそんな感じの話だった気がする。というかこの時点で『ドラキュリアン』撮る宣言的なことしてるのも凄い!

区切られた空間に負を滞留させてからの恐怖演出とか、水中からドレス姿の美女が浮かび上がってくる異様さとか、部屋へ向かう足の動きを映した後に扉と少女を交互に見せる演出からの対象の変更による緩急と爆発力とか、足元だけでの善悪の交代とか、手堅さを感じるシーンが多くて面白かったし、建物という存在に悔いている過去を象徴させ、清算的結末を迎えるとこも良かったと思います。

こんな面白いのに何でDVD化しなかったのかがマジで謎な楽しい作品でした。『ザ・プレデター』では脚本家として復活したわけだし、監督としても何か新作を撮ってほしいところ。もし『ロボコップ(3)』のリメイク・新作とかだったら嫌な予感しかしなくなるけど…(笑)
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