てつこてつ

バッド・エデュケーションのてつこてつのレビュー・感想・評価

バッド・エデュケーション(2004年製作の映画)
3.6
自身も厳格な神学校で少年時代を過ごしたペドロ・アルモドバル監督の半自伝的作品なだけあって、良くも悪くも監督の外連味たっぷりの持ち味が一番出ている作品だと個人的には思う。

神学校における少年同士の同性愛的感情、神父による少年への性的虐待という大きなタブーを、当たり前のようにストーリーの中に溶け込ませている展開が凄い。ただ、もう少しミステリー部分とかの謎解きに繊細さがあったほうが、よりエンタメ作品としては楽しめたかな。

おそらくアルモドバルの分身として描かれている主人公の若き映画監督を魅了するガエル・ガルシア・ベルナルのキャスティングは絶妙で、女装シーンでも彼の美しさが、より一層引き立つほど。個人的には彼の出演作では「モーターサイクル・ダイアリーズ」と並んで彼の魅力が良く引き出された作品だと思う。

オープニングクレジットに始まり、冒頭の監督のオフィスのシーンから、登場人物が着こなすファッション、舞台となるバレンシアの風景と、とにかく画面に溢れかえる華やかな色彩美は、これぞ、アルモドバルの真骨頂という程、凝りに凝っている。
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