滝和也

ハメットの滝和也のレビュー・感想・評価

ハメット(1982年製作の映画)
3.5
ダシール・ハメット
ハードボイルド探偵
小説の大家。

マルタの鷹、影なき男他
を生み出した彼を主人公に
語られるハードボイルド
ミステリー…。

「ハメット」

当時ドイツ映画界で新進気鋭のヴィム・ヴェンダースがプロデューサー、フランシス・フォード・コッポラに招かれて監督したハードボイルド作品です。撮影はタワーリングインフェルノでオスカーに輝いたジョセフ・バイロック、音楽は007のジョン・バリーと豪華布陣。でも…。

1920年代サンフランシスコ、ハメットは友人である探偵ライアンに呼び出される。リンと言う中国人娼婦を探してほしいと依頼されるが、彼らを狙い次々と怪しい男たちが現れる。事件に巻き込まれたハメットは…。

ハメット自体、嘗て探偵社にいて、その経験をもとに執筆していた事にヒントを得て描かれた作品です。所謂マルタの鷹などのハードボイルド探偵モノになるのですが…80年代に作成されていまして、全く時代の空気にそぐわない作品であり、全くあたらなかったんですよね…。

更に…ヴィム・ヴェンダースとコッポラの間にトラブルがあり、コッポラが完成させた曰く付きと来ている。ヴェンダースの作品を30年ぶりに見る私ですら、何か違う…コッポラっぽいと感じるので、果たして監督に意味があったか疑問ですね。それにヴェンダースでハードボイルドを撮るならモノクロフィルムの方がより質感、時代性を感じられた気もします。撮影監督も違うので、それも無理かな…。

ただ…その当たりを抜きにして考えてみると…そんなに悪くない。ハードボイルドモノとしての粋な台詞の作り、2~30年代の空気感はそれなりに出てますし。ほぼセットで撮影(コッポラのゾアトロープ撮影所)された箱庭感は夢や幻想のようでもあって癖になる感じですからね。

またハードボイルド探偵が好きなので僕には脚本もそれなりに楽しめました。まぁハードボイルドの王道を行くストーリー展開はあまりに王道過ぎて語るべくもないレベルのミステリーではあるんですが…。ファムファタールでおわかりの方はわかりますよね。

コッポラ自体、この時代好きにやりすぎてゴッドファーザーの儲けを散財していた時代ですから、無理もないかも…。ただ光る部分はありますし、かなりレアかつ珍品の部類に入る作品ですので、再評価されて欲しい作品です。お暇なときにでも…。

追記…因みな主演のフレデリック・フォレストですが、ハメット自身にかなり寄せて役作りしてます。ご本人の写真とかなり似てました(^^)
滝和也

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