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ハメットのnagarebosiのレビュー・感想・評価

ハメット(1982年製作の映画)
4.2
こってりとした私立探偵小説をそのまま映像化したような本作。
ヴェンダーズのファンでも無いし監督作を観たことも無い私ですが、私立探偵モノというのがひっかかり、公開時、観たかった作品でした(その後、ポスターやパンフを買っちゃいました)。
以前、実際に探偵をやっていたハードボイルド作家のハメットがある事件に巻き込まれ・・・という、それこそ探偵小説にゴロゴロありそうなストーリーを、それこそ”いかにも!”って感じの映像、音楽などで魅せてくれます。
ソフト帽、スーツやコート等の衣装(ネクタイを緩めているのも洒落ててカッコいいです)、タバコ、物書きだけにタイプライター(この作品観てからタイプライターがめっちゃ欲しくなりました!)、そしてファム・ファータールというべき魅力的な女性(となってますが、私個人はまるでピンとこなかったです)。
もう、雰囲気だけはバツグン!ただし、作品としてはいま一歩?かな。
コッポラの考えとヴェンダーズの作家性が相反したせいなのか、確かに微妙な出来といえば、そうかも。その辺の詳細は私は未見ですが「ことの次第」で描かれてるそうです。
それでも90分弱でキッチリと描き、端的な編集でひじょうに観やすく、この世界観に浸れます。難をいえば音楽はもっとジャズっぽくして欲しかった・・・。脚本家の一人”ロス・トーマス”のミステリ小説も以前に読みました。さほど記憶に残ってませんが。
すごい!とか、傑作だ!とは言いません、でもこの手のジャンルが好きな方なら一度は観てほしい作品。映画の出来としては「チャイナ・タウン」のほうが遥かに上ですが、それでもお奨めします。
いやぁ、男ってのはこういうダンディズムに憧れるもんなんだよねえ・・・。