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ハメットのKSatのレビュー・感想・評価

ハメット(1982年製作の映画)
3.3
あのダシール・ハメットを主人公にしたノワール映画。

30年代サンフランシスコを舞台に、失踪した中国人の娼婦を探すよう依頼されたハメットの活躍と、謎の自殺を遂げた富豪の話が繋がっていく。

監督はヴィム・ヴェンダースなのだが、ハメット役はフレデリック・フォレスト、美術はディーン・タヴォラリスということからも明らかなように、コッポラがプロデュースした映画だ。ちょうど「ワン・フロム・ザ・ハート」と同じ時期だからか、ほとんど全編がセット撮影で、ポップなビジュアルが目を引く。

めちゃくちゃテンポがいいため、悪い映画ではないのだが、カット割やカメラワーク、台詞回しなどにヴェンダースらしさは皆無だ。いかにコッポラがヴェンダースに圧を与えたかが伺える。そりゃ、「ことの次第」を撮りたくもなるわな。「コッポラに何度も踏みにじられたヴェンダース映画」という感じ。

「俺たちに明日はない」のD・W・モスみたいなキモいヤツがいるなあ、と思ったら、ジャック・ナンスだった。あと、一瞬だけサミュエル・フラー出てくるけど、マジでヴェンダースはフラー大好きだよね。

まあ、つまらない映画ではないが、何か物足りないし、名作になれなかったのもよくわかる。
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