女性の社会進出の難しさを象徴するエレベーターシーン。「羊たちの沈黙」のクラリスとレクター博士の関係性のように、成島も富士丸にある種の救いを求めていたように邪推してしまう。
富士丸の抑揚のない語り、極端な陰影をつけたライティングも相まってどこか人間離れした存在。バブル景気に浮かれ、芸術の価値を金でしか見出せない絵画取引トレーダーに鉄槌を喰らわすアンチヒーローにも見える。
ナチス党員を思わせる富士丸の衣装の整合性はよく分からないが、カッコよければそれでいい。映画はやっぱりケレンがあってこそ。
全編に流れるジョン・カーペンター味の劇伴。よりジャンル映画を見てるぞ感がでて嬉しい作り。あの安っぽいシンセが肩肘張らずにリラックスして鑑賞できるのです。