凜

地獄の警備員の凜のネタバレレビュー・内容・結末

地獄の警備員(1992年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1992年公開 FODにて鑑賞。

松重豊さんのデビュー作だそう。

富士丸という名前=日本の象徴
帝都物語の加藤を想起させる風貌=暴力と亡霊
曙商事=日出ずる国、輝かしい経済成長
12課=当時、投機目的で秘密裏に売買された絵画の企業(物語の社内でも知られていない)
12の意味するところは?

などと勝手に妄想せずにはいられませんでした。

しかし、そこまで緻密に練り上げられた裏設定とまでは考えず。
最後に彼の動機が判明するのかな?それとも、考えるな!感じろ!的な理由のない結末になるのかな?といい意味でのめり込みながら鑑賞していました。

92年をリアルに思い起こすと、昭和天皇の崩御から3年がたったころ。
バブルはちらほらと綻びを見せはじめ、そのまま雪崩をうって国が壊れていったと記憶しています。
まだ子どもでしたが、口にできないどんよりした雰囲気が漂っていたような。

監督がなにを意図して「俺のことを忘れるな!」といったのか、明確なところは分かりませんが、強烈なメッセージということはしっかり受けとめました。

キャラクターや脚本も、当時平成であってもいい意味で昭和のVシネな感じ。
長身の松重さんがさらに巨大に見えるようなカメラワーク、絵面というかコンテがすごく好み。

警備員2や先輩女性社員の弱さ、かすかな愚かさが実に人間くさくていい。

ちなみに当時、内藤剛志さんや大杉漣さんは、ほんっっっとこういう気持ちの悪い役ばかり演じていたのが忘れられません(苦笑)。
凜