ジャンヌ・モローのファム・ファタールっぷりを堪能。ひとりの男を翻弄し、転落させてしまう。SMっぽさを感じるほど冷淡なエヴァがカッコいい。
ベネチアの風景とミシェル・ルグランのジャジーなサウンドから始まるスタイリッシュなオープニング。『天使の入り江』もよかったけど、これも。
最初と最後の方に、ジャンヌ・モローが部屋にいるシーンを長回しで3分以上にわたり映す演出が、PVみたいに洒落てて見入ってしまう。
もちろん今作も鏡の演出がたっぷり。サングラスに男の奥さんが映る演出にはちょっとウケた。
ピエール・カルダンの衣装をそつなく着こなすモローと、隅々まで計算された構図に見惚れます。撮影は『81/2』などのジャンニ・ディ・ヴェナンツォ。
エヴァには感情がなく、お金があっても幸せには見えないし、愛されたいのに人を愛せない。孤児ということもあり、生まれつき孤独が染み付いているような気だるさと美しさが際立っていました。