【筋書きよりも映像】
ジョセフ・ロージー監督作品、1962年作、モノクロ。
ジャンヌ・モロー演じる娼婦が、デビューしたばかりの作家(スタンリー・ベイカー)を翻弄して破滅に追い込む様子を、ヴェネチアやローマを舞台に描いている。
男への媚態を見せずに男を魅惑し翻弄するジャンヌ・モローの姿は興味深いが、私個人の好みとしては彼女にそれほど夢中になる男の気持ちがよく分からない。つまり、モローは私の好みではない。むしろ作家の妻となる女性を演じるヴィルナ・リージの美しさが絶品で、オレだったら美人の奥さんのほうを大事にするけどなあ、と思ってしまった。
まあ、自分に好意を抱いてくれる女より、振り向いてくれない女のほうに夢中になる男の哀しいサガは分かりますけど。
ただしこの映画、ヴェネチアなどのイタリアの街を背景にしていて、建物もクラシックで造形的であり、そうしたところで映画的な面白さが味わえるところがいい。
つまり、映像面を評価すべき映画なのだと思う。