Mikiyoshi1986

エヴァの匂いのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

エヴァの匂い(1962年製作の映画)
3.7
1月23日は昨年逝去された20世紀のフランス映画を代表する名女優ジャンヌ・モロー様のお誕生日。
生きていれば今日で90歳に。

気だるい色香がムンムンに立ち込めるジャンヌ・モロー様の主演作の中でも、一際その冷艶なるデカダンぷりを魅せたのはジョセフ・ロージー監督の『エヴァの匂い』ではないでしょうか。

イギリス炭鉱労働者の出身ながらも処女作が映画化され、名声を得た新進作家タイヴィアンをスタンリー・ベイカーが好演。
その婚約者フランチェスカはこれまた高貴な容姿で銀幕を映えさせるヴィルナ・リージ様。

そのタイヴィアンがミステリアスな高級娼婦エヴァに惚れ込むことで破滅へと足を踏み入れることに。
男を骨抜きにする悪女エヴァの奔放なメンタルに加え、
偽りの仮面を被りながら堕落してゆくタイヴィアンの素性もこれまたロージー式の階級論・性愛論に通じております。
禁忌を犯してエデンを追放されたイヴの如く、エヴァを通して現代における男女の虚飾をとことんぶちまけたロージー。

ミシェル・ルグランが織り成すジャズスコアと共に、ビリー・ホリデー「Willow weep for me」が印象的にエヴァの妖艶さを引き立てます。
特に序盤の長回しで捉えるお着替えはジャンヌ・モローの魅力を余すことなく切り取った名シーン。

ジャンヌ・モロー様が打ち出してくれた数々のファムファタール像は永遠です。
Mikiyoshi1986

Mikiyoshi1986