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アメリカを斬るのayのレビュー・感想・評価

アメリカを斬る(1969年製作の映画)
2.0
60年代後半の米国での社会運動の盛りあがりは、カルチャー全般の今につながる大事な起点と知ってはいても、長いこと、当時の空気感まではちゃんとは把握できてなかった。

「アメリカを斬る」は、「アメリカン・グラフティ」「バージニア・ウルフなんかこわくない」の名カメラマンのハスケル・ウェクスラーが製作・監督・脚本・撮影。ストーリーらしいストーリーも流麗なカメラワークも少なくて正直みづらい。ただ残り20分からの街中シーンに、1968年夏、シカゴ民主党全国大会の会場近くのグランドパークで起きた若者の暴動と体制による弾圧の実写がおさめられている。この異様な高揚感のデモを扇動したとされたシカゴ・セブンの映画化が、アーロン・ソーキンの「シカゴ7裁判 」。

「アメリカを斬る」の公開が1969年だから、なぜ歴史的な暴動が起きたのか、この映画のなかではわざわざ説明されてない。1968年は、ベトナム戦争の行方を決めたテト攻勢やキング牧師暗殺、そして大統領有力候補だったロバート・ケネディ暗殺と、大きな事件が起こりすぎた。シカゴ民主党全国大会の開催は、ロバート・ケネディの大統領予備選祝勝会での暗殺直後。一連の経緯の把握には、Netflix「ロバート・ケネディを大統領に」が参考になった。とてもよいドキュメンタリーで、“ロバート旋風“の当時の若者やカウンターカルチャーへの影響力を、自分はまったくわかってなかったと知った。ロバート・ケネディ、愛称ボビーは1925年生まれ、兄ジョン・F・ケネディ大統領政権下で司法長官に。62年キューバ危機対応。63年兄の暗殺。黒人の公民権運動や貧困層への支援、ベトナム戦争反対表明。自分が一番知らなかったのは、本能的に人々と心を通いあわせることができた、彼のカリスマ性だった。

1968年夏、アメリカの未来が若者にはみえなくなったのか。
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