ゴリアテの憂鬱

選挙のゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

選挙(2006年製作の映画)
3.6
舞台は2005年に行われた川崎市議会議員の補欠選挙。
自民党議員の一人が参議院議員にくら替えしたために、川崎市議会議員の勢力図は自民18対民主18の同数に。
自民党としては絶対に勝たなければならない選挙で、自民党は公募をかけ候補者を選びました。

本作のドキュメンタリーにおける主人公であり自民党の候補者,山内和彦さんは、ある日かかってきた「公募に応募しないか?」という一本の電話から、公認候補者として選挙に出馬することになる。

それまで切手・コイン商として生計を立ててきた政治に関してはズブの素人の山内さん。

このドキュメンタリーは、日本の政治や選挙における、なかなか一有権者としては見ることができない舞台裏に潜む問題を提起した作品なのだと思います。

本作は、ベルリン国際映画祭で上映され、拍手喝采を得ました。
その評価の中には「なんて自然な演技なんだ」というものもあったみたいですが、監督の「あれは演技ではなく、全て本当にあったことなんです」という説明に、ドイツ人は目を丸くしてビックリしたそうです。

ドイツ人達は本作を〝喜劇〟だと捉えていたようですが、ドキュメンタリーだと知って「何と馬鹿げた選挙なのだ」と衝撃を受けました。

馬鹿げているのは選挙ではなく、政治に疎かったり言われるままに組織票を投じ続ける日本の有権者であることも自覚しなければなりません。