ダイナ

狼の死刑宣告のダイナのレビュー・感想・評価

狼の死刑宣告(2007年製作の映画)
4.3
子供達の幼少期のホームムービーの導入に嫌な予感しか感じない復讐系ハードアクション。ただの復讐おじさん系と侮ってはいけない良作。武器選定・武器購入シーンは全ての映画に盛り込むよう義務付けよう(提案)。

私刑ダメ絶対という正論棒をちらつかせつつも被害者側の心情にも寄り添う描き方が良く、なんといってもケヴィン・ベーコンの憤慨・狼狽・激怒・後悔・絶句、そして覚悟の演技が素晴らしいの一言。見ているこちらも達観の境地に連れて行かれるぐらいの役作りがグッド。あと坊主にした時後頭部に剃り残しがあるの好きです。

なんといっても45分あたりからの駐車場一連のシーンが素晴らしすぎる!機転を効かせた即興の作戦について主役・追跡側に密着して捉えるカメラワーク、階層の現在状況を跨ぎながらリアルタイムに映すここのシーンのオチまで含め駐車場という舞台を上手く活用していてスリリングで面白すぎて脳汁がドバドバと溢れてしまいそうですう。「縦横無尽なカメラワーク」が最高すぎる!まあこのシーンは5分くらいしかないんですけども。個人的にここのシーンに惚れ惚れしているわけですがその他シーンについても勢いよく非常に非情でグッド!

復讐シーソーゲームなストーリーはエンタメ的で、無能警察や悲痛な場面で歌メロが流れる辺りにやや軽い大衆向けの印象で序盤は平凡な出だし感があるものの、復讐の無情さを蔑ろにせず場面場面の面白さを重視したつくりで、なんでもできちゃう万能ヒーローとは一線を引く、苦悩・葛藤まみれの主人公の変貌の過程の人間臭さがとても良い作品でした。ジェームズワンは直近の作品を見ると今やアクション作品の人になりつつあるもののSAWで名を轟かせた当時の観客達にハードボイルドもいけるじゃん!と思わせたに違いない。
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