葛西ロボ

コンタクトの葛西ロボのレビュー・感想・評価

コンタクト(1997年製作の映画)
2.8
 あれよあれよと展開するテンポの良さはいいが、ずっと画面に映っている主人公の魅力がまったく伝わってこない上に、リアリティ重視のわりに宗教問題偏重のストーリーがつらかった。というか、宇宙人との接触に神を信じているかどうかが何故そんなに重要なのかがわからなかった。それって単にキリスト教原理主義の観点じゃないのか?そのくせ「世界の人々の95%は神を信じている」と世界中の宗教を一まとめにして扱っているからたちが悪い。だいたい宇宙人がどんな存在なのかもわからない間に議論もクソも無い。そんなことは宇宙人に会ってから「あなたに神はいますか」とでも聞けばいいだろ。たぶん高度な技術を持っている=地球の発展にも関わってきた(ご先祖)という可能性からの話なんだろうけど。
 主人公に魅力が無ければ、その理解者たるマコノヒーの薄っぺらさも著しい。とってつけたような恋愛要素、訳知り顔で現れては空々しいこと言って、恋愛メインではない少女漫画における影の薄い王子様かよ。
 映像の張りぼてっぽさや後半の展開の安直さもSFというよりテーマパーク臭がきつい。最終的に科学の盲信も神の盲信も突き詰めれば似たようなものであるという収斂はなるほどカール・セーガン上手いなとは思う。NASAが選ぶ現実的なSF映画で「ガタカ」に次いで2位にランクインしたのも、彼の経験に基づいた前半のリアリティのおかげだろう。しかし、如何せんやり方がまずかった。