ダイナ

コンタクトのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

コンタクト(1997年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ】
幼いころから交信技術に触れていた少女エリー。成長するにつれ地球外との交信という夢も大きくなっていった。数年が流れエリーは大人へ、知識を蓄え実力も認められ研究者へと就職。とある日、地球外生命体の手がかりを掴み、周囲、世界中をも巻き込む事態に展開していく。

作中では「科学」や「宗教」「神」等ワードが多用されていた印象。(字幕で見ました)主人公のエリーは「科学」、パーマー(エリーの恋人?ポジション)は「宗教」という風に登場人物によって信仰というか「軸」となるものが異なるため、衝突がよく起こる。エリーは一難去ってまた一難みたいにすんなりと地球外生命体との交信の立場に座らせてもらえないのがもどかしくもあり応援したくなる。エリーとパーマーについては対極って程ではないが、考えのベクトルは同じ方向には向いていなかった。しかしラスト、パーマーが言う「科学と宗教のちがいはありますが、目指すものは同じ、真理の探究です。彼女を信じます。」って言葉は印象に残った。思想の違いについて、相手を負かす、抱き込むのではなく、両立、手を取り合うという方法を見つけたということ。「地球外生命体との交信」という映画内の一連の出来事があったからこそ、この回答が生まれてきたわけで。そう考えると未知とのコンタクトによって得られたものは単なる科学的情報だけでは無かったと言えるのではないでしょうか。

この映画、派手なシーンは無い、いやまあ爆発シーンは派手だし、終盤のSFシーンは幻想的だけど全体的に見たら息もつかせぬ展開の嵐!ってわけでもなく地味に進んていった印象を個人的に感じた。しかし鑑賞後はどこか心地いいような爽やかな気持ちになれた。自分の価値観についてちょっと考えさせられただけでもこの映画を観てよかったと思える。

鑑賞後知ったが、監督はBTFやフォレストガンプを撮ったことで有名なロバート・ゼメキス(監督作はその2作しか知らない)。そして主演のエリーを演じるのはジョディ・フォスター。自分の中では羊たちの沈黙のクラリスの印象が強い。しかし鑑賞中は全く気付かなかった。熱演でした。



以下、個人的に映画見ながら思ったこと
思った事書き残さないのはせっかく鑑賞したのにもったいない気がした。(空間がもったいないとか言わない)

・エリー幼少時の回想
父親が倒れた時鏡の中の薬を取りに走るシーン。走る姿を真正面から映している、と思ったらいつの間に鏡に映ったエリーの映像になっていて、その鏡の縁にある取っ手を開いて薬を取る。ちょっと説明下手ですごく申し訳ないんですがこのシーンちょっとした錯覚くらわされた感じがあって印象残りました。その後重い音楽流れて鏡の中の棚に並べてある薬に映像が寄っていくので「まさか薬間違えて父親亡くなったのか?」とか鬱展開を予想したがそんなことはなかった。

・出資者のハデンからの連絡
発信者不明でハッキングの跡、「ワタシタチトモダチ」とかいう怪しいメッセージ、丁度いいタイミングで電話鳴らしてきたりFAXで場所指定してきたり、「宇宙人がコンタクトとってきたのか?」と思いましたが、フツーに金持ち爺さんの仕業で設計図解読のヒントくれた。終盤の展開に関してもこの映画の重要人物となる爺さん。エリーは彼とコンタクトとれて良かったですね。

・テロ
ドラムリンという男、序盤はエリーの研究について「頭脳は良いがそんな無駄な研究に時間使うな」と反対していたのに地球外生命体の手がかりを知った途端自分の手柄のように発表しだして、しまいには部下であるエリーの情熱を知りながらもポッドの乗員として名乗り上げて枠を潰すという欲深さ。イラっとしましたねぇ。そんなドラムリン、自爆テロにあってしまうわけですが(ちょっとかわいそうではあるが自業自得かもしれない)、その時の爆発シーンの威力がすごいんです。テロリスト(宗教家)一人が腹に巻いたダイナマイトでそんな遠方に破片ぶっ飛ぶのかって思いましたが、そもそもダイナマイト大きさに伴う標準的な爆発力も知らんし、テロなんで腹巻以外にもダイナマイト仕込んでたんじゃねえのってのと施設の何かしらの機関に引火した可能性とかも考えて補完。

・乗員採用の条件
乗員候補あと一歩の所まで進んだエリーが「神を信じないデータ主義だから」って理由で選ばれなかった所。パーマー余計な事言ってんじゃねえよ!とか地球外と交信するなら科学主義の方が良いだろうが!とか思ったが後の「人類の95%は神を信じている、残り5%を人類の代表にできない」的な発言も微妙に納得はできる。人類の代表としてなら大多数の思想を軸に持った人物が望ましいのかも。いやでもそれでドラムリンになるよりは。そもそも「神」って言っても地域や思想によって信じる神は異なるわけで、たとえ95%の神を信じる人の中の一人が代表になったとしても、その人を地球の代表として認めない人なんてのは絶対出てくるよな。現にテロも起きたわけだし。

・オーバーテクノロジー
地球外生命体からの設計図を基に施設を建てる。この施設については使い方は分かるが(複数球状に回るリングの中にポッドを落とすらしい)何が起こるかはハッキリとは分からない。人類が考えついたわけでもないし。そんな技術を利用する。作中でもトロイの木馬って言葉使われてて罠なんじゃないの、とか友好的だったらいいけどねとか言及されている。鑑賞後ふと考えてみる。自分の普段の生活にあるテクノロジーについて1から100まで理解している訳じゃねーなと。単純なものだと時計が動く内部構造であったり、飛行機が空を飛ぶ理屈であったり、細かい所だと多様なデータが多様な媒体を介して出力先に適した形に変換されているわけだけどそれらを全部把握なんてしていない。(俺が無知なだけってのもある)まあそれらは「人類」が生み出したテクノロジーっていう前提があるから信じられるんだけど。その信じるっていうのも自分の知識の裏付けがあるわけではなく「そうだから」「みんな利用してるから」「昔からあるから」ってのが多い。この映画では揉めたっちゃ揉めたけど設計図通りに施設を建てて地球外生命体にコンタクトをとる選択をした。正直「そんな設計図送られたからってホイホイ作っていいのか」とか思う気持ちが少しあったが、理解していない「モノ」を利用しているのが当たり前の生活の自分がツッコミ入れるのもなんか違う。理解だな、理解。映画に突っ込む前に理解していかなきゃならんな自分は。
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